●凋落する世界
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  2016年大発会(1/4)の為替は始値120円33銭、
  それが4/11には一時107円63銭まで円高し、
  2014年10月末の日銀追加緩和前の水準まで、
  わずか3ヶ月で逆戻りしてしまいました。

  最近では、為替105円や日経平均15000円?という数字が
  目に付くようになりましたが、マーケットは一体これからどうなるのでしょうか?

  振り返ると、相場の転換点では常に米国の意思が働いています。

  今回は、昨年末の米利上げを背景に、2014年7月(始値79.83pt)から
  約25%上昇(2015年12/1高値100.59pt)したドルの実質実効レートに
  一旦、修正局面が訪れており(4/15現在94.94ポイント)、
  今年2月から約10円程度のドル安調整に踏み切ったことが
  円高の実情となっています。

  2月と言えば、米大統領選の民主党有力候補、
  ヒラリー・クリントン前国務長官が名指しで
  日本・中国が為替操作をしていると批判し、
  25日には貿易相手国の為替操作を阻止する措置が盛り込まれた
  関税関連法案にオバマ大統領が署名、成立しました。

  更に、その週末26~27日には上海で
  G20財務省中央銀行総裁会議が開催され、
  市場の安定化に向けた対策が主な議題となりましたが、
  具体策はないものの、そこで通貨安競争を回避する
  何らかの合意がなされたことは確かです。

  周知の通り、米ドルは世界の基軸通貨であり、
  これまで長きに亘りドル高・ドル安を繰り返しながら
  日本、欧州ならびに中国、新興国の経済成長発展に寄与してきました。

  ところが、近年になって日欧中がほぼ同時に
  極端な通貨安政策に傾いたことで、ドルの一極集中高が顕著になり、
  耐え切れなくなったというのがドル安の背景です。

  例えば、米国の景気先行指標として代表的なISM製造業景況指数は、
  ドル高に転換した2014年8月の59を境目に下がり続け、
  今年1月には好不況の分岐とされる50を割り込む48.2を付けています。

  ドル高の負担により輸出や製造業の鈍化が続き、
  米国経済全体に波及することになれば、
  中長期的にドル下落が続く可能性も 否定できません。

  しかしながら、問題は今の世界で自国相場の上昇を受け入れる
  余裕のある国がいなくなってしまったことです。

  落ち着きを取り戻したかの様に見える金融市場ですが、
  4/14~15ワシントンでのG20が終わった後、
  マーケットには再びの円高に注意が必要です。

  (アルフィックス日報)