●生物のハイブリッド
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  日本には、臓器提供を待っている方がおよそ1万3000人も存在しております。

  それに対して、移植を受けられる方は年間およそ300人しかいません。

  日本だけで考えた場合、生きている間に臓器提供を受けられない可能性が
  非常に高いと考えられます。

  そこで、近年医療の場で注目されているキメラ技術というものがあります。

  キメラ技術とは、動物の体内で人間の臓器を作り出す技術です。

  現在、米国ではこの技術を用いて、人間に移植する臓器を
  ブタや羊の体内で成長させる研究が行われています。

  まず遺伝子操作した動物の受精卵にヒトの幹細胞を注入し、
  動物性集合胚を作ります。

  それをメスの子宮に戻し出産させますが、
  ヒトの幹細胞を持ちながら産まれた動物は、
  自身の体内で人間の臓器を育てながら成長していきます。

  その後、それらを摘出して、患者に移植するという方法です。

  しかし、ヒトの脳細胞が使用された場合、
  その動物の認知状態が変わってしまう可能性が懸念されており、
  ヒトの幹細胞を取り込んだキメラ動物が高い知能や
  人間の体を保持したまま産まれてくる可能性も否めません。

  また、動物の体内で作られた臓器がヒトに移植された場合に
  拒絶反応が起こらないかの疑問の念も残ります。

  2010年にはマウスの体内でラットのすい臓を作るという実験では成功しており、
  今後、動物の体内でヒトの臓器を作ることも可能であると言われています。

  また、iPS細胞から成長した臓器は、たとえ動物の体内で成長したとしても
  完全な移植臓器と適合するという研究結果も出ています。

  さらに、諸外国では動物の細胞や臓器をヒトに移植する例が
  100例以上ありますが、ヒトへの感染症の報告がないことから、
  今後、本格的に実現する可能性は高いと考えられます。

  現在、臓器不足で移植手術までに何年も待たなければいけない
  という現状がありますが、このキメラ技術により、
  移植臓器を一年以内に作り出すことが可能になります。

  世界には何万人という臓器を待ちわびているドナーが存在しますので、
  研究が成功すれば新たな光になるのではないでしょうか。

  (アルフィックス日報)