●小さな大和撫子  
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  今年も上半期を終えようとしています。

  日本は四季が存在するから美しいといわれますが、
  この半年間でも梅や椿の開花から始まり、桃や桜、チューリップなど
  様々な花が景色に色を添えてくれました。

  ところで、主役の花といえば何を思い浮かべますでしょうか。

  多くの方が花の女王と呼ばれるバラ、
  あるいは夏の花の王様といわれるヒマワリなど
  大きく存在感のある花を選ばれると思います。

  では、カスミソウと聞くとどんなことを連想しますか。

  大多数の方が「花束の脇役」「あまり目立たない小さな花」など
  少し地味な印象をお持ちだと思います。

  今回は、脇役になりがちなカスミソウについて紹介させて頂きます。

  確かに、上記のようにカスミソウ自体が主役になることはほとんどなく、
  花束の脇役となっています。

  しかし、花束にはなくてはならない存在で、
  主役の花を申し分なく引き立ててくれます。

  複数ある花を綺麗にまとめてくれ、カスミソウがあるのとないのとでは
  花束の印象も大きく変わります。

  さらに受け取った相手への思いもより伝わりやすいように感じられます。

  カスミソウ自身は「清らかな心」「親切」「無邪気」など
  素敵な花言葉を持ち合わせています。

  そんなカスミソウですが、1970年~80年代には花束の名脇役として
  ある種のブームを迎えていました。

  しかし、流行が去ると時代の風潮もあり、むしろ「古いデザイン」として
  生産量もピークの半分以下となってしまいました。

  それでも生産者の絶え間ない努力で改めてその魅力が見直され、
  2014年にはバラを抑え「今年の花」に選ばれたのです。

  華やかで大きな花から素朴でありのままの草花へと
  トレンドが移りつつあると評されました。

  因みに、カスミソウの日本一の産地は福島県奥会津の昭和村です。

  生産は約30年の歴史があり、北は仙台、南は沖縄まで
  31市場へ出荷しています。

  昭和村は標高700mで冬は日本でも有数の豪雪地区です。

  真冬には2m近くの雪が積もるのですが、
  カスミソウはそのような厳しい環境を耐え抜いた力強さが感じられる反面、
  その風貌は小さく可憐で控えめな印象を与えてくれる大和撫子のようです。

  (アルフィックス日報)

 カスミソウは現在咲き頃を迎えています。たまには普段あまり目を向けられていないカスミソウをメインとした花束を贈られてみてはいかがでしょうか。