●英国の住宅価値
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  ロンドンの高級住宅価格が、4四半期連続で値下がりしています。

  不動産ブローカーのサヴィルズの発表によりますと、
  ロンドン中心部の最上級地区の住宅価格(4-6月期)は1.4%下落、
  2014年7-9月期のピークから約8%下落しています。

  また、この統計は英国がEU離脱を決定した
  6月23日より前の1週間に集計されたもので、
  今後はもっと厳しい状況になると懸念されています。

  英国では、建物の寿命は永遠であるという考え方があります。

  ロンドンの街は500年ほど前から発達してきましたが、
  その時代の建物が今なお残っています。

  建物の寿命が長いのは、地震がないことと、
  レンガや石造りであることが大きな理由です。

  1666年のロンドン大火以降、
  建物はレンガや石造りであることを義務づけ、
  建物の外観の変更を認めていません。

  また、景観条例で道路も素材や色を決められているため、
  ロンドンの多くの街並みは、過去も未来も大きく変わりません。

  このように古い建物の歴史的価値を重要視するため、
  古ければ古いほど建物の価値は高くなります。

  日本とは異なり、建物が古くなることによる値下がりはせず、
  築100年以上の建物は歴史建築として値段が上がります。

  英国では中古住宅が新築住宅の約8倍市場に出回っています。

  このため、英国で家を買う場合、
  一般的に中古住宅を買うことになります。

  一方、マンションにおいても200年、300年前に建てられたものが多く、
  古いものほど人気があり、価格も高くなる傾向にあります。

  英国でマンションを買うということは、
  建物や土地を所有するということではなく、
  居住権を買うことになります。

  居住権は100年前後のものがあり、
  マンションの売買はこの居住権の売買を意味します。
 
  英国の建物は古いがゆえに、
  住むためのメンテナンスを欠かすことはできません。

  建物は頑丈であっても、電気や給排水などの設備は
  新しいものに変えていく必要があります。

  英国の街並みの一つである住宅において価格が下落し、
  住宅離れが進んできた場合、
  こういったメンテナンスにおいても大きな問題が生じてきます。

  英国の歴史的な景観を残していくためにも、
  早急な対策が求められます。

  (アルフィックス日報)