●トルコの行く末
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  トルコのクーデター未遂から約1週間が経過しましたが、
  エルドアン大統領率いる政権の大規模な粛清は5万人を超えます。

  さらに、21日には非常事態宣言を出す方針も打ち出され、
  その強権的な手法に対して諸外国も懸念を示しているようです。

  そもそもトルコと言えば、北は黒海、南は地中海に面する国です。

  しかも、このところ話題となっているシリアの隣国で、
  アサド大統領とエルドアン大統領は家族ぐるみの付き合いです。

  こうした国で起こったクーデター未遂事件は、
  今後どういった影響を及ぼすのでしょうか。

  トルコは、憲法的には特定の宗教の影響を受けない世俗国家です。

  これは第一次世界大戦後、戦勝国からの侵攻を受けていた
  現在のトルコで、元オスマン帝国軍人などが
  自国民の安全と自国の独立を目指して
  トルコ独立戦争を行なったことに始まります。

  その後、オスマン帝国王家のカリフを追放し、
  西洋化による近代化を目指すトルコ共和国を建国したのです。

  これはイスラム世界では初めての世俗国家樹立となります。

  つまり、現在のトルコは軍人によって建国された世俗国家なのです。

  ところが、トルコ国民の99%はイスラム教徒であり、
  スンニ派が多数を占めています。

  イスラム教は教会組織そのものが無く、
  神と人間を切り離すという概念がないため、
  建国当初から世俗主義に対する国民の理解は薄く、
  今も一般的には理解されていないのが実情のようです。

  ただ、今回のクーデターの失敗によって、
  エルドアン大統領は軍隊も完全に掌握してしまったわけですから、
  権力基盤をより強固にした点は明らかです。

  また、国際的には民主主義が堅持されたと見られており、
  内政面からはポジティブに捉える見方も多くあります。

  しかし一方で、エルドアン大統領がイスラム国家の樹立を
  一気に進めていく可能性が高まったという見方もあります。

  これは、イスラム教とは、
  唯一無二で全能の神が全てを支配すると教えるため、
  国民の99%をイスラム教で占めるトルコにおいて、
  エルドアン大統領がイスラム教の最高指導者として
  神の教えと発言すれば、それに従わずにはいられなくなるからです。

  こうしたことを考えますと、
  今回のクーデターがエルドアン大統領の自作自演だったという
  憶測が巷で飛び交うことも頷けます。

  その真偽は不明ですが、
  クーデターが失敗に終わった直後の矢継ぎ早な粛清は、
  事前にリストを準備していたと言っても過言ではありません。

  ただ、米軍におけるイスラム国攻撃の拠点であること、
  EUへの加盟がさらに困難になったことなどを考えれば、
  今後、国際的にどのような影響が出るのか、
  まだまだ今後のトルコの動向には注視する必要がありそうです。

  (アルフィックス日報)