●田んぼソーラー
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  農林水産省では、5年に1度農業にたずさわる人口調査が行われています。

  2015年度では前回調査に比べて2割減少し209万人、
  平均年齢も0.5歳上がり66.3歳になりました。

  高齢で体力の不安から農業を辞める方や、
  若者は労働環境の厳しさや専業では収入も安定しにくいという面から
  就農に進む割合が減っているようです。

  こうした農業人口を改善していくための方法として
  最近注目されているのが、「ソーラーシェアリング」です。

  このソーラーシェアリングというのは、
  田んぼや畑の上に太陽光パネルを設置して発電させるものです。

  パネルで農作物に太陽の光が十分に当たらないのでは
  と疑問に思うかもしれませんが、
  農作業に支障のない高さに架台を設置して、
  太陽光があたるように隙間を空けながらパネルを並べます。

  また、植物は一定量の光があれば育つため、
  それを超える余った光を利用するという面で
  ソーラーシェアリングは有効です。

  この仕組みを利用すれば農業収入と売電収入の
  両方を得られるようになります。

  ちなみに売電収入は、26年度の売買単価34.56円で計算すると、
  1反で年間約166万円の増収に繋がると推計されます。

  また、設置場所もメガソーラーほど大規模な工事も必要としません。

  もし、日本の農用地471万haに設置することができれば、
  再生可能エネルギーだけで
  日本の電力を賄うことも可能と言われるほどです。

  ただ、デメリットもあります。

  それは、農作物にとって1番良いパネルの設置場所に関する
  実証データが少ないこと、長期稼動するための架台や
  システムのノウハウが不足していることです。

  これは農作物の成長や収量に対するリスクになります。

  また、2013年に農林水産省からソーラーシェアリングの認可条件として、
  パネルを設置しても継続的に農業を続けていくことと、
  3年ごとに農地の審査と見直しがあり、
  それをクリアしていかなければなりません。

  ただ、いずれのデメリットに関しても、
  長期的に農業を継続けていくことで
  クリアしていける問題と言えそうです。

   認可が降りた初年度の契約数は約6件、
  今では約600件まで増えています。

  実績が増えるほどリスクも低くなり、単価も安くなり、
  身近に感じることで普及するのも速くなります。

  ソーラーシェアリングを考案した
  CHO技術研究所代表の長島彬さんは、
  「土地を平面に使うことから立体的に用いる道が拓けた。」
  と話しています。

  今後の日本の農業や電力だけでなく、
  この取り組みが世界に広がれば未来は大きく変わるでしょう。

  出発したばかりの新システムのおかげで明るい未来が待っていそうです。

  (アルフィックス日報)