●第三次世界大戦の火種に
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  2017年1月20日、米国におきましてトランプ政権が誕生しました。

  大幅減税や1兆ドルのインフラ投資、TPPからの離脱を公言しておりますが、
  特に注目しているものは中国に対して高率な関税を課すのかどうかです。

  もし、そうなった場合、仕返しとして中国は対米に報復関税を課す可能性も否めず、
  米中間で貿易戦争にまで発展するかもしれません。

  万が一、そこまで発展した場合、世界はどのように推移するのでしょうか。

  まず米国において、対中輸入額は対中輸出額の約4倍です。

  この点から、米国の対中輸入制限と中国の対米輸入関税が同時に課された場合、
  中国の受ける打撃は単純に米国の4倍になります。

  さらに、米国のGDPは中国のGDPの1.6倍ですので、
  GDPで比較してもその差は更に大きいものになるのです。

  そもそも、米国が中国から輸入している主な理由は「安いから」であり、
  関税をかければ対中輸入は激減し、
  トランプ政権の思惑通り、国内生産が増えそうです。

  また、政治的に考えましてもトランプ政権にはメリットが大きく、
  国内でトランプ氏を支持している白人労働者の期待に応えることができますので、
  支持基盤を固めることができるのです。

  反対に、中国が米国から輸入している主な理由は
  「国内で生産することができないから」です。

  中国では、過剰生産能力を削減していく必要が言われているにもかかわらず、
  地方政府の抵抗等により、削減が進んでいない背景があります。

  そうした中で、強制的に設備削減をしなくてはならなくなり、
  国内の権力闘争が一層激しくなる可能性も高いのです。

  つまり、中国は米国に対して報復関税を課したとしても、
  多少の打撃を与えることしかできませんが、
  自国は多大な悪影響を受けることになりそうです。

  中国に高率な関税を課すことはトランプ大統領にとって有益な選択になりますので、
  その政策に積極的に踏み出すのではないでしょうか。

  現に、トランプ大統領は貿易政策を担当する「国家通商会議」を新設して、
  そのトップに反中派のピーター・ナバロ氏を指名しております。

  もし、中国に対して関税を課すのであれば、
  グローバル経済は米中貿易戦争に巻き込まれ、激しく動揺するかもしれません。

  米国が中国へ関税を課したときは十分お気をつけ下さい。

  (アルフィックス日報)