●再デフレ化!?
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  去る8月14日に内閣府から発表されたGDP指標を受け
  各紙とも「4-6(実質)GDP年率4%増、11年ぶり6期連続」
  という景気のいい見出しを掲げました。

  しかし、実際のところどうでしょう、

  数字が示すような良さを実感している方は
  少ないのではないでしょうか。

  それもそのはず、今回の諸指標を噛み砕いてみると、
  「景気が良い」どころか日本はデフレに再突入している
  という懸念さえも生じる内容となっているからです。

  このことを理解するにはGDPデフレータを
  知っておかなければなりません。

  GDPデフレータとは名目GDPから物価変動の影響を排除して
  実質GDPを導き出すための指標で、
  簡単に言えば物価の変動そのものということになります。

  通常インフレが起こっていればインフレの影響を排除することにより
  (例えば物価が前年の2倍となっている場合
  名目GDPが2倍となっていても
  デフレータ調整により実質GDPは変わらない)、
  実質GDPにより本当に経済成長しているかどうかが分かるのですが、
  デフレの場合(GDPデフレータがマイナス)は厄介なのです。

  この場合、名目GDPの成長がゼロでもデフレータ調整により
  実質GDPはプラス化してしまい、
  「たくさん物を作って(実質GDP増)売っても収入が一緒
  (名目GDP変わらず)」という意味となり、
  まさにデフレを象徴する経済状況を示すからです。

  今回発表されたGDPデフレータは前期比では
  +0.2%であるものの前年同期比では-0.4%となっており、
  まさに再デフレ化により実質GDPに下駄が履かされたのではないか
  という疑念が生まれるわけです。

  この報道に関しては京大教授で内閣官房参与でもある
  藤井氏も「諸々の数字を見ると現在はデフレである」
  との考えを示していますし、
  著名経済評論家の三橋氏も「実質賃金、実質消費、
  GDPデフレータと、3つの指標が全てマイナスになっている以上
  再デフレ化と判断せざるを得ない」
  と自身のブログで警鐘を鳴らしています。

  両氏とも現在のデフレの根源は
  「需要不足」にあるとの認識で一致しており、
  需要不足が解消されれば物価の上昇により
  GDPデフレータのプラス化を伴ったGDP成長が達成できるとし、
  そのための方策としてインフラ整備などを含む
  国土強靭化のための財政出動による需要の増加が
  解決策として適切だと結論付けています。

  とくにインフラ整備は短期的には需要ですが、
  将来的には作ったインフラの利用による生産性向上が
  供給力の増大に繋がるという点で、
  短期的にも長期的にも共に有効な手段である
  という両氏の主張は傾聴に値します。

  数字が示す真の意味を理解した上でのこういった主張が、
  20年間世界最低の成長を続ける日本経済に一石を投じ、
  「実感できる好景気」が達成されることを願ってやみません。

  (アルフィックス日報)