住宅用太陽光発電の誤算、「10年で投資回収」は大ウソだった④
FIT後の無策を糊塗する政府
ところが、である。
政府は先日の有識者委員会で
「住宅用太陽光発電が自立的な電源として発電していく役割を期待する」
と発言し、投資回収もままならない現実と
およそ乖離した夢物語を目標として描いている。
政府がFIT終了後に、住宅用太陽光発電をどう浸透・定着させるのかの
“出口戦略”を真剣に考えてこなかったことの表れだろう。
政府は再エネの主力電源化への道筋をつけるために、
住宅用太陽光発電を地産地消の分散型エネルギーとして
定着させることを掲げている。
仮に、FIT終了後の住宅用太陽光発電を自家消費型へ
本気でシフトさせたいならば、
蓄電池やEVを導入する人向けの補助制度は欠かせないだろう。
ただし、それでは政府が言うところの“自立した電源”
とは言えなくなる矛盾を抱えてしまうことになる。
つまるところ、太陽光発電の主力電源化を本気で推し進めるのか。
住宅用太陽光発電でその役割を担うのか。
仮にそうならば、住宅用導入を推進する
新スキームを構築すべきではないのか──。
日本のエネルギー戦略の根幹に関わる修正が必要なときにきている。
(週間ダイヤモンド編集部 堀内 亮)