子どもの学力は「母親の学歴」で決まる...? 文科省の衝撃レポート
こんな記事を読みました。
小学6年と中学3年の全員を対象に、毎年4月に実施されている
文部科学省の「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)。
それぞれの対象学年100万人以上が一斉に受ける国内最大の調査では、
都道府県別の平均正答率が公表されるため、
「今年は秋田県が1位」などの報道を見たことをある人は多いだろう。
しかし、テストに付随して行われる保護者対象の
「アンケート調査」はあまり知られていない。
じつはこちらの調査こそ、日本の「教育格差の真実」が凝縮して示されているとして、
教育専門家の間ではむしろ注目されている。
たとえば「家庭環境と子供の学力」の章は、
「200万円未満」から「1500万円以上」まで100万円刻みで
世帯年収と学力の関係を分析している。
年収の高さに比例して正答率の高さも増しているが、
注目されるのは、ある程度の高さの年収世帯になると
「年収と学力」が直線的な関係を示さなくなることだ。
たとえば、「年収1200~1500万円」世帯の生徒の平均正答率は、
「年収1500万円以上」世帯に比べて、
国語A・B、数学A・Bのすべてで上回っている。
必ずしも世帯年収が高いほど正答率が高くなるとは限らない一例といえよう。
さらに興味深いのは、保護者の学歴と児童生徒の学力との関係だ。
保護者の学歴が高いほど児童生徒の学力が高い傾向がみられるが、
より詳しく見ると、児童生徒の学力は父親の学歴より
母親の学歴との関係性がより強く出ていることだ。
17年度調査では新たに保護者の単身赴任と児童生徒の学力との関係も対象となった。
単身赴任世帯は各学校で一定割合含まれることから新項目になったとされるが、
結果は「父親が単身赴任している子供の学力は、そうでない子供より高い」
という分析が導き出された。
データでみると、小6と中3の全科目で、「父親単身赴任」の児童生徒の正答率が
そうではないケースを上回り、特に、中3の数学Aでは3・9ポイントの差がついた。
一方、母親が単身赴任しているケースでは、逆の結果がでた。
母親と同居しているケースに比べて児童生徒の正答率は10ポイント程度低くなり、
とりわけ中3の国語Bでは52・1%にとどまり、
72・5%の同居ケースに比べ20・4ポイントも差が付く結果となった。
詳細な分析説明がないためデータの意味づけは不明だが、
さきほどの母親の最終学歴と学力との関係と合わせて考えれば、
子供の学力に対する母親の存在の影響力をうかがわせて興味深い。
「保護者の帰宅時間と学力」という調査も親にとっては気がかりなところだろう。
結論から言うと、父親については22時以降の帰宅(早朝帰宅を含む)
という家庭の子供の学力が最も高いことが明らかになった。
たとえば、小6の国語Aでみると、父親の帰宅時間帯別の正答率は
「就業していない」(68・9%)、「16時より前」(72・0%)、
「16~18時」(72・4%)、「18~20時」(74・6%)、
「20~22時」(77・0%)、「22時以降」(77・9%)、
「交替制勤務などで帰宅時間が決まっていない」(72・8%)。
帰宅時間と正答率の相関関係を示しただけで、
踏み込んだ分析は示されていないが、こうしたデータだけみれば、
「父親の不在により、子供が自宅で勉強に集中できる環境がある」
とも読めるが、いかがだろうか。
(現代ビジネス 8/29)