●心が疲れ果てた人へ…「温泉で幸せホルモンが出ます」②
◆自分ではコントロールしにくいイライラを、温泉で整える
温泉のリラックス効果は、「自律神経」へのアプローチ
温泉のリラックス効果は、「自律神経」へのアプローチ
といった側面からも証明されています。
熱い温泉に入ると、最初は交感神経が優位になり
興奮したような状態になるのですが、徐々に落ち着いていき、
逆に副交感神経が優位になることで、
リラックス状態に変化していくのです。
◆温泉に入るだけで分泌する「幸せホルモン」
温泉が自律神経に影響する根拠のひとつは、
温泉に含まれる“リラックス成分”によるもの。
たとえば、カルシウムイオンを多く含む温泉に入れば、
イライラを直接的に鎮めてくれることがわかっています。
昔からイライラしていると
「カルシウムが足りていないのでは?」と言われますが、
医学的にも正しいことであり、私も医学部で教わったものです。
カルシウムのほかにも、硝酸ナトリウムなど、
戦前からすでに研究で明らかとなっていた
鎮静作用をもたらす成分が温泉には多く含まれています。
これらの成分が不足している人は、温泉に浸かることで
イライラを抑えることができるかもしれません。
脳波や自律神経など、
イライラに関連する複数の要因を総合的にケアすることで、
心からリラックスできる状態に整えていくといいでしょう。
◆温泉に入るだけで分泌する「幸せホルモン」
最後に、温泉に入ることで、直接的に“幸福感”を得られる
具体的なメカニズムを説明しましょう。
温泉に浸かることで幸福度が高まることは、
温泉療法専門医である早坂信哉先生により、
6000人を対象に2012年11月から12月にかけて行われた
大規模調査などによっても明らかとなっています。
これは、温泉に首まで浸かって温まると、
幸福感を高める2種類のホルモンが分泌されることによるもの
と考えられます。
ひとつは、「なんだか気分が落ち込む」「元気が出ない」
といった、いわゆる「うつ状態」を改善する「セロトニン」。
セロトニンには、精神を安定させる効果が期待できます。
加えて、温泉で得られる
「オキシトシン」と呼ばれるホルモンには、ストレスを緩和し、
幸せな気分をもたらす効果があるとされています。
最近はオキシトシンがある種ブームになっていて、
マザーズタッチのように触れることでオキシトシンを出す
といったマッサージもあるようです。
オキシトシンが活発に分泌される代表的な場面は、
「子どもに愛情を注ぐ瞬間」とされています。
赤ちゃんを愛おしいと思い、守りたいと考えるのも、
オキシトシンの分泌が影響しているのです。
したがって、子どもがいない方や、
いたとしても反抗期を迎えるなどして関係が悪化してしまうと、
愛情を注ぐべき対象がなくなるため
オキシトシンを十分に分泌できなくなってしまうようですが、
オキシトシンは、温泉に入るだけで
簡単に分泌させることができます。
以上、ご紹介したように、
温泉には、リラックスして日頃溜め込んだストレスなど、
いわば“心の毒”を解消するとともに、幸福感を得られるという、
ほかでは得られない特徴があります。
仕事など日常生活で疲労やストレスを感じる方は、
ぜひとも温泉を利用してみてください。