気楽な独り言

(有)山野工務店を経営。 国産材を使い、職人の手作りにこだわった家造りをしています。 新築住宅やリフォームなどの事例をご紹介します。 また時々好きな旅行の記事や日々の出来事なども投稿していきます。

中東情勢

トルコの行く末

  ●トルコの行く末
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  トルコのクーデター未遂から約1週間が経過しましたが、
  エルドアン大統領率いる政権の大規模な粛清は5万人を超えます。

  さらに、21日には非常事態宣言を出す方針も打ち出され、
  その強権的な手法に対して諸外国も懸念を示しているようです。

  そもそもトルコと言えば、北は黒海、南は地中海に面する国です。

  しかも、このところ話題となっているシリアの隣国で、
  アサド大統領とエルドアン大統領は家族ぐるみの付き合いです。

  こうした国で起こったクーデター未遂事件は、
  今後どういった影響を及ぼすのでしょうか。

  トルコは、憲法的には特定の宗教の影響を受けない世俗国家です。

  これは第一次世界大戦後、戦勝国からの侵攻を受けていた
  現在のトルコで、元オスマン帝国軍人などが
  自国民の安全と自国の独立を目指して
  トルコ独立戦争を行なったことに始まります。

  その後、オスマン帝国王家のカリフを追放し、
  西洋化による近代化を目指すトルコ共和国を建国したのです。

  これはイスラム世界では初めての世俗国家樹立となります。

  つまり、現在のトルコは軍人によって建国された世俗国家なのです。

  ところが、トルコ国民の99%はイスラム教徒であり、
  スンニ派が多数を占めています。

  イスラム教は教会組織そのものが無く、
  神と人間を切り離すという概念がないため、
  建国当初から世俗主義に対する国民の理解は薄く、
  今も一般的には理解されていないのが実情のようです。

  ただ、今回のクーデターの失敗によって、
  エルドアン大統領は軍隊も完全に掌握してしまったわけですから、
  権力基盤をより強固にした点は明らかです。

  また、国際的には民主主義が堅持されたと見られており、
  内政面からはポジティブに捉える見方も多くあります。

  しかし一方で、エルドアン大統領がイスラム国家の樹立を
  一気に進めていく可能性が高まったという見方もあります。

  これは、イスラム教とは、
  唯一無二で全能の神が全てを支配すると教えるため、
  国民の99%をイスラム教で占めるトルコにおいて、
  エルドアン大統領がイスラム教の最高指導者として
  神の教えと発言すれば、それに従わずにはいられなくなるからです。

  こうしたことを考えますと、
  今回のクーデターがエルドアン大統領の自作自演だったという
  憶測が巷で飛び交うことも頷けます。

  その真偽は不明ですが、
  クーデターが失敗に終わった直後の矢継ぎ早な粛清は、
  事前にリストを準備していたと言っても過言ではありません。

  ただ、米軍におけるイスラム国攻撃の拠点であること、
  EUへの加盟がさらに困難になったことなどを考えれば、
  今後、国際的にどのような影響が出るのか、
  まだまだ今後のトルコの動向には注視する必要がありそうです。

  (アルフィックス日報)

パリ同時多発テロが起きるほどにIS膨張を許した戦犯は誰か?

パリ同時多発テロが起きるほどにIS膨張を許した戦犯は誰か?

  11月13日、世界は「9.11」以来の衝撃に襲われた。

  パリで「同時多発テロ」が起こり、129人が犠牲になったからだ。

  イスラム国(IS)による犯行と見られるこの事件によって、
  世界はどう変わっていくのだろうか?

突如現れて広大な地域を占領したIS
米国は過去に彼らを支援していた

  今回のテロについて、フランスのオランド大統領は、
  即座にISの犯行と断定。そして、IS自身、「犯行声明」を出している。

http://dol.ismcdn.jp/mwimgs/c/b/300/img_cba7014e87315e919320d339dee483a91924323.jpg反アサド派国家たちが支援した結果、ISは広大な地域を占領する力を手にした。パリ同時多発テロの背景には、関係諸国による「代理戦争」がある Photo:AP/AFLO

  2014年に「どこからともなく」現れ、いきなりイラクとシリアにまたがる
  広大な地域を占領したIS。

  日本人には、「唐突に」登場したように見える。

  しかし、ある集団が強い勢力を持つには、「金」と「武器」が必要だ。

  彼らは、どこでそれらを得たのだろうか?まず、ここから話をはじめよう。

  以下は、AFP-時事2013年9月21日付からの引用。

  「シリアの反体制派同士が、ケンカし、戦闘になったが和解した」
  という内容である(太線筆者、以下同じ)。

<シリア北部の町占拠、反体制派とアルカイダ系勢力 対立の背景
トルコとの国境沿いにあるシリア北部アレッポ(Aleppo)県の町、
アザズ(Azaz)で18日に戦闘になったシリア反体制派「自由シリア軍
(Free Syrian Army、FSA)」と国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系武装勢力
「イラク・レバントのイスラム国(ISlamic?State of Iraq and the Levant、ISIS)」
が停戦に合意したと、イギリスを拠点とするNGO「シリア人権監視団
(Syrian Observatoryfor Human Rights)」が20日、明らかにした。>
([AFP=時事])

  短いが、ISに関する「2つの重要な事実」
  (知らない人にとっては衝撃的な)を含んでいる。

  まず、ISは、13年9月時点で「アルカイダ系」であった。
  (その後、アルカイダから独立)。

  2つ目は、この時点で、ISはシリアのアサド政権と戦う
  「反体制派」(=反アサド派)に属していた

  これがなぜ「衝撃的」なのか?「アルカイダ」については、説明する必要もないだろう。

  米国で01年9月11日「同時多発テロ」を起こしたとされるテロ組織だ。

  「米国最大の敵」とされた。ISは「アルカイダ系」なので、「米国の敵」なのはわかる。

  しかし…。11年にシリアで内戦が起こった時、米国はアサド現政権ではなく、
  「反アサド派」を支援した。その時のことを思い出していただきたい。

  米国は、「悪の独裁者アサド」「民主主義を求める善の反アサド派」という構図を、
  全世界で宣伝した。

  ところが、その「善の反アサド派」の中に、「アルカイダ系」の「IS」も入っていたのだ。

  つまり米国政府は、「最大の敵であるはずのアルカイダ系ISを含む勢力を、
  『善』と偽って支援していた」ことになる。

ISを含む「反アサド派」に
6000億円もの支援をしたのは誰か?

  もう少し詳しく、ISのルーツを見てみよう。

  ベストセラー「イスラーム国の衝撃」(池内恵著)にISの組織と
  名称の変遷が記されている(65~68p)。

 1999~2004年10月:「タウヒードとジハード団」
 2004年10月~2006年1月:「イラクのアルカイダ
 (この時点では、はっきり「アルカイダ」を名乗っている)
 2006年1月~10月:「イラク・ムジャーヒディーン諮問評議会」
 2006年4月~2013年4月、:「イラク・イスラム国
 (ここで、「イスラム国」という名に変わった)
 2013年4月~2014年6月、:「イラクとシャームのイスラム国
 2014年6月~、:「イスラム国」 

  次に、ISが急速に勢力を拡大できた理由を見てみよう。

  既述のように11年、シリアで内戦がはじまった。

  ロシアとイランは、アサド現政権を支持、支援した。


  一方、欧米は「反アサド派」を支援した。

  さらに、トルコ、サウジアラビア、ヨルダン、エジプト、アラブ首長国連邦、
  カタールも「反アサド派」を支持、支援した。

  これらは「スンニ派」の国々である。

  アサドは「シーア派」の一派である「アラフィー派」。

  彼らは、アサドを政権から追放して「スンニ派政権」 をつくりたいのだ。

  ところで、一言で「反アサド派」といっても、さまざまな勢力がある。

  そこで12年11月、「反アサド諸勢力」を統括する組織として、
  「シリア国民連合」がつくられた。

  著名なアラブ人ジャーナリスト・アトワーン氏の著書「イスラーム国」には
  「どの国が、反アサドを支援したのか」に関して、こんな記述がある。

<サウディアラビアとカタールが革命勢力に資金、武器支援を行った。
『ニューヨーク・タイムス』は、2012年1月、カタールが武器を貨物機に載せて
トルコに運び、革命勢力に供与していたと報じた。
サウディアラビアも軍用機でミサイルや迫撃砲、機関銃、自動小銃を
ヨルダン、トルコに運び、シリア国内に送り込んでいた。
非公式の情報に基づけば、サウディアラビアは50億USドル(約6150億円)を、
武器支援などのシリア反体制派支援に費やしたという。>(203~204p)。

  アトワーン氏は「非公式の情報」と断っているが、6000億円以上の金、武器が
  「反アサド派」に提供され、その一部が(反アサド派にいた)ISに流れたとすれば、
  彼らが突然「勃興した理由」もわかる。

  ここまでで分かるように「シリア内戦」は欧米vsロシア、
  そして、スンニ派諸国vsシーア派の「代理戦争」と化した。

  そして、欧米や、サウジアラビアなどスンニ派諸国からの支援こそが、
  ISを短期間で一大勢力に成長させたのだ。


  ちなみにオバマは13年8月、「アサド軍が化学兵器を使った」ことを理由に、
  「シリアを攻撃する」と宣言。

  しかし翌月には、「やはり攻撃はやめた」と戦争を「ドタキャン」して世界を驚かせた。

  この頃からISは「反アサド派」や「アルカイダ」の枠を超え、
  独自の動きをするようになっていく(アルカイダは14年2月、ISに「絶縁宣言」をした)。

やる気のない欧米の空爆を尻目に勢力を拡大

  プーチンの本気の攻撃でピンチに独自勢力になったISは、
  次々に支配地域を拡大し、さらなる金と武器を手にしていく。

  14年6月10日には、イラク第2の都市モスルを陥落させた。

  ここには大油田があり、ISは重要な「資金源」を得ることに成功する。

  同年6月29日、ISのリーダー、アブー・バクル・アル=バグダーディーは
  「カリフ宣言」を行った。

  つまり彼は「全イスラム教徒の最高指導者である」と宣言したのだ。

  ISの現在の資金や武器は、どうなっているのだろうか?

  前述の本「イスラーム国」によると、資金源は以下の通りである。

 ・ イラク中央銀行から、5億ドルを強奪した。
 ・石油販売で、1日200万ドルの収入を得ている。
 ・支配地域の住民約1000万人から税金を徴収している。
 武器については、
 ・イラクとシリア両国政府軍拠点を制圧し、米国製、ロシア製の武器を大量に奪った。
 ・2700を超える、戦車、装甲車、軍用車両を所有している。

  さて、米国は14年8月、「ISへの空爆を開始する」と発表した。

  同年9月には、今回テロが起こったフランスが空爆を開始。

  その後、「有志連合」の数は増えていった。

  しかし、米国を中心とする空爆は、あまり成果がなく、
  ISはその後も支配領域を拡大していった。
 
  米国を中心とする空爆に「やる気」が感じられないことについてロシアは、
  「ISを使ってアサド政権を倒したいからだ」と見ている。


  15年9月30日、状況を大きく変える出来事が起こる。

  ロシアが、シリア領内のIS空爆を開始したのだ。

  ロシアの動機は、親ロ・アサド政権を守ること。

  そのため空爆も「真剣」である。

  1ヵ月半の空爆の結果、シリアのISは大打撃を受け、アサド政権は息を吹き返した。

  アサド軍は現在、着実に失地を回復している。

  追いつめられたISのメンバーが、難民に紛れ込み、
  欧州に逃亡を図っている可能性は高い。

  こんな状況下で11月13日、「パリ同時多発テロ」が起こったのだ。

「パリ同時多発テロ」で
世界情勢はどう変わるか?

  次に、「パリ同時多発テロ」で「世界はどう変わるのか?」を考えてみよう。

<フランス>
  まず、テロが起こったフランスは、ISに復讐しなければならない。
  ここで空爆を止めれば、「テロに屈した」ことになるからだ。
  実際、テロ翌々日の11月15日、フランス軍は、
  ISが「首都」と称するシリア北部の都市ラッカを空爆した。
  これは、今までで最大規模の攻撃だった。
  また、フランスは、原子力空母「シャルル・ド・ゴール」をペルシャ湾に派遣し、
  4ヵ月間駐留させることを決めている。
  オランド大統領は、今回のテロを「戦争行為」と断じ、最後まで戦い抜く決意を示した。
<欧州全体>
  欧州全体を見ると、今後難民に対する姿勢が硬化するだろう。
  難民の中にISメンバーが多数含まれている可能性は高い。
  とすれば、欧州は、「便衣兵」(敵を欺くために私服を来ている兵士)を
  大量に受け入れていることになる。
  規制が強まるのは、やむをえない措置といえるだろう。
<ロシア> 
  不謹慎な言い方だが、事実として、「楽になる」のがロシアである。
  1年8ヵ月前、「クリミア併合」を決断したプーチンは、
  「ヒトラーの再来」「世界の孤児」と呼ばれていた。
  しかし、現在、「クリミア」「ウクライナ」のことを思い出す人は、ほとんどいない。
  それどころか、プーチンは、欧米にとって「対IS戦争の同志」になりつつある。
  ロシアが空爆をはじめた当初、欧米は、「『IS』ではなく、
  『反アサド派』を攻撃している」と批判した。
  ところが1ヵ月半の空爆で、実際にISは著しく弱体化している。
  オバマとプーチンは11月16日、G20が開かれていたトルコ・アンタルヤで会談。
  そこで、オバマは、ロシアの空爆に理解を示した。

<<米露首脳会談>「シリア和平必要」…露IS空爆に米が理解
米国のオバマ大統領とロシアのプーチン大統領が15日、
主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開催中のトルコ・アンタルヤで会談し、
シリア内戦の終結に向け、国連の仲介による
アサド政権と反体制派の交渉や停戦が必要だとの認識で一致した。? 
オバマ氏はロシア軍が9月末にシリアで始めた
過激派組織「イスラム国」(IS)への空爆にも一定の理解を示した。>
(毎日新聞11月16日(月)12時28分配信)

  さらに、オランド大統領は11月17日、米国だけでなく、
  「ロシアと協力して」「イスラム国」と戦う意志を明確にしている。

<仏米ロ、シリア北部のIS空爆 軍事的連携を強化へ
フランス、米国の空軍は17日、過激派組織「イスラム国」(IS)が
首都と称するシリア北部ラッカを空爆した。
パリの同時多発テロ後、仏空軍による空爆は2度目。
これとは別に、ロシア空軍もラッカを空爆した。
仏ロ関係はウクライナ紛争で冷え込んだが、
オランド仏大統領は16日の演説で、対ISで従来の米国に加えて
ロシアとの軍事的連携も強化すると述べた。>
(朝日新聞デジタル11月18日(水)2時0分配信)

自称“国家”のISは消滅するが
テロは今後も続く

<米国>
  米国は、今までの「ダラダラ空爆」を改めざるを得なくなるだろう。
  このままロシア軍がISを征伐してしまえば、超大国の威信は失墜する。
  これから米国は、「有志連合軍」を率い、真剣にISと戦うことになる。
  ちなみに、「反IS」で欧米ロが一体化することは、
  米国に「もっと大きな利益」をもたらすことになる。
  現在、米国最大の問題は、「中国の影響力が米国に迫っていること」である。
  実際、57もの国々が、中国主導「AIIB」への参加を決めた。
  その中には、英国、ドイツ、フランス、イタリア、イスラエル、オーストラリア、韓国など、
  「親米国家群」も含まれる(彼らは、米国の制止を無視して参加を決めた)。
  特に、伝統的に「親米」だった欧州が、
  「米中の間で揺れていること」は、非常に問題だ。
  米国は、ISとの戦いを主導することで、欧州との関係「再構築」をはかるだろう。
  そして、「中国と対抗するためにロシアと和解する」のは、
  筆者が4月28日の記事で予想したとおりである(記事はこちら)。
  つまり、「パリ同時多発テロ」がなくても、両国は和解に向かっただろう。
  しかし、テロはそのプロセスを速めた。


<IS>
  では、「パリ同時多発テロ」を起こしたとされるISはどうなるのだろうか?
  欧米ロが一体となって、全力をあげて攻撃をしかけるのだから、
  どう考えても勝ち目はない。
  結局彼らは、支配地域を失い、
  欧州、ロシア、旧ソ連諸国などに散らばっていくだろう。
  支配地域を持たない古巣のアルカイダ同様、
  世界のさまざまな地域でテロ行為を続ける。
  ISという、自称“国家”は消滅するが、
  そのメンバーは、これからも世界各地でテロを行い、民衆を恐怖させるだろう。

  (ダイアモンドオンライン)

パリ同時多発テロの根底にある100年の歴史

パリ同時多発テロの根底にある100年の歴史

終わらぬ根深い憎しみの連鎖
発端は第一次世界大戦

http://dol.ismcdn.jp/mwimgs/1/d/300/img_1d9fc2f485c1bcd0b962a632a70408c495849.jpgテロの事件現場で追悼する市民 Photo:AP Photo/Frank Augstein

  今月13日、パリで130名近くもの死者を出すテロが起こった。

  直後に「イスラム国」から犯行声明が出され、
  フランス空軍による報復爆撃が行われたというニュースも流れている。

  ちなみにテロが起こった11月13日は、
  1918年、英仏軍がオスマン帝国のイスタンブールを制圧した日である。

  つまり聖戦を掲げるイスラム国にとっては、
  キリスト教徒にイスラム教徒が侵略された恥辱の日であり、
  復讐にふさわしい日と見ることもできる。

  首謀者にはヨーロッパ国籍をもつイスラム国シンパも含まれているといい、
  戦争の歴史が作り出してしまったヨーロッパ移民社会の複雑さ、
  暗部をも垣間見るようである。

  根深い憎しみの連鎖は、まだまだ終わりそうもない。

  卑劣きわまりないテロの犠牲者に対しては、哀悼の念を強くするばかりである。

  ただ地政学的に見れば、1916年のサイクス=ピコ協定でわかるように、
  ヨーロッパ諸国がアラブ世界を民族無視で勝手に分割したこと、
  さらにその後、しっかりコントロールしきれなかったことが、
  さまざまな形をとって現在にまで及んでいる。

  例えば、アメリカがイラク民主化のためにフセイン政権を倒したが、
  その残党が「イスラム国」を作った。

  このたびのパリのテロもまた、それらがもたらした
  大きな悲劇の一つであると見るべきだろう。

  こうした現代の難問を理解するには、
  高校レベルの世界史をおさらいしておくといい。
 
  発端は第一次世界大戦である。

中東問題の大元を作った
イギリスの「三枚舌外交」

  第一次世界大戦後にドイツの力が弱まり、
  オーストリア=ハンガリー帝国、オスマン帝国、ロシア帝国が崩壊したことで、
  バルカン半島から東欧にかけての地域には小さな独立国家が乱立した。

  ドイツの同盟国として参戦したオスマン帝国の解体では、
  現代にまで続く中東問題が芽生えてしまった。

  それを説明するには、第一次世界大戦中のイギリスの多重外交にまで
  遡らなくてはならない。

  1915年、イギリスはフサイン・マクマホン協定によって、
  オスマン帝国からの独立をアラブ人たちに約束した。

   「オスマン帝国との戦いに貢献し、勝利した暁には自分たちの領土を持てる」
  とアラブ人たちに思わせることで、イギリス陣営への協力を取り付けたわけである。

  しかし、これが虚構であったことは、その直後にイギリスが
  フランス、ロシアと結んだ協定を見れば明らかだ。

  1916年、オスマン帝国領アジアをイギリス、フランス、ロシアとで分割、
  パレスチナは国際管理下に置くというサイクス=ピコ協定が結ぼれる。

  下図で、青がフランス、赤がイギリス、緑がロシアである。


  これは、オスマン帝国の支配下にあるアラブ人が独立できるという、
  フセイン=マクマホン協定と明確に食い違っている。

  しかも、定規で引いたような人為的な国境線が後で火種になる。

  さらに1917年には、イギリスは、パルフォア宣言によって
  ユダヤ人がパレスチナに独立国家を築くことを認めた。

  アラブ人にしたように、「独立国家を持てる」と約束することで、
  ユダヤ人からの協力も得ようとしたのだ。

  このようにイギリスは、戦争を有利に進めるために、
  それぞれの利害関係者に異なる言質を与える「三枚舌外交」を行った。

  そして、今日にまで続く中東問題の大元を作ってしまったのである。

統治国の勝手が生み出した
クルド人問題とパレスチナ問題

  ちなみに、サイクス=ピコ協定でオスマン帝国の分割案に参加していたロシアは、
  戦中にロシア革命が起こったため、単独でドイツと講和条約を締結していた。

  ロシアはバルカン半島で勢力拡大し、
  オスマン帝国までも分割統治することで黒海方面への南下を狙っていたが、
  その野心は、自国内の革命という足元から崩れることになったのである。

  ロシアが途中で戦線離脱したことで、オスマン帝国は
  イギリスとフランスの決定によって分割統治されることになった。

  そこで生じた中東問題の一つは、クルド人問題だ。

  イギリスとフランスが勝手にそれぞれの委任統治領を決めたせいで、
  クルド人の地域は、トルコと、イギリス、フランスの勢力下にある
  イラクとシリア、イランなどに分断されてしまった。

  実は、最初に結ぼれたセーブル条約では
  クルド人の独立国家の建国が認められていた。

  ところが、トルコ共和国の領土回復が認められたローザンヌ条約で、
  取り消されてしまったのだ。

  自分たちの国を持たないクルド人は、各国では少数派だが、
  全体を合わせれば約3000万人にもなると推定されている。

  彼らの独立問題は、第一次世界大戦以降、
  今も中東における最大懸念の一つとなっている。

  第一次世界大戦が元となった中東問題は、パレスチナ問題だ。

  現在のヨルダンを含むパレスチナは、第一次世界大戦後、
  イギリスの委任統治領となり、
  パルフォア宣言に基づいてユダヤ人たちはパレスチナに向かった。

  といっても、この当時は、もともとパレスチナに住んでいたアラブ人と
  移植してきたユダヤ人は、比較的穏やかに共存していたとされる。

  とごろが、ユダヤ人入植者が増えるにつれて、
  次第に土地争いなどが起こりはじめ、バレスチナ人との対立が強くなっていく。

  それを、統治国であるイギリスはコントロールしきれなかった。

  困り果てた末、第二次世界大戦後に責任放棄して国連に丸投げにしたために、
  パレスチナ問題はますます混迷を極め、いまだ解決されていない。

テロは決して認められない
だが100年間の歴史も知っておこう

  ひとくちにイスラム教徒といっても、内側は非常に複雑である。

  彼らの帰属意識は国よりも部族に対してのほうが強く、
  しかも、先に挙げたクルド人に代表されるように、
  国境と部族が必ずしも一致していない。

  さらに、イスラム教にはスンニ派とシーア派という二大宗派があり、
  多数派のスンニ派と少数派のシーア派が
  対立を続けているという長い歴史がある。

  この宗派とは別に、トルコ主義、アラブ民族主義、ペルシャ主義といった、
  少しずつ異なる民族意識もある。

  宗派や民族意識が異なっても、最大概念であるイスラム共同体
  「ウンマ」への帰属意識は共有している。

  しかし、イラン・イラク戦争のように、同じイスラム教国同士で起こった戦争には、
  スンニ派とシーア派の歴史的対立が絡んでいる場合もある。

  こうした背景をいっさい斟酌しようともせず、戦勝国が勝手に勢力図を決め、
  分け合ってしまったのが、第一次世界大戦の一つの結果だった。

  アラブ世界の人々は、宗教心や帰属意識もろとも、
  列強の手前勝手な領土欲に振り回されたのである。

  現在では中東は、かつてのバルカン半島をしのぐといってもいいほど
  リスクの高い「火薬庫」となってしまった。

  目下、最大の懸案は、やはりイスラム過激派組織「イスラム国」の台頭である。

  「イスラム国」は、サイクス=ピコ協定の終焉を目指している。

  ヨーロッパでは、今回のパリのテロ以外にも、
  これまでにロンドンやマドリードで一般市民をターゲットにした
  イスラム過激派によるテロが起こっている。

  また言うまでもなく、それ以上の数、規模のテロが、
  中東の国々では今や日常茶飯事となっている。

  この問題は簡単に解決しない。

  以上で見たように、100年前の話が発端になっていて、
  100年間も解決されなかったからだ。

  テロはいかなる理由があっても認められない。

  ただ、この100年間の歴史も同時に頭に入れておこう。

  (ダイアモンドオンライン)

ロシアが中東を守る

 ●ロシアが中東を守る
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  ロシアによる空爆で、ますます混迷を極めてきたシリア情勢。

  国連総会で参戦を表明したロシアに対し、常任理事国であるアメリカは
  拒否権を発動しませんでした。

  先日、ロシアのプーチン大統領が国連総会に10年ぶりに出席しました。

  そこでの演説と目的は「テロの一掃」です。

  現在、欧州を中心に中東から世界中へ溢れ出ているシリア難民の元凶は、
  数年前までアサド政権だと言われてきましたが、
  どうやらアサド政権の問題ではなく、
  米国の軍産複合体やイスラエルによって作られたイスラム国(ISIS)や
  反政府ゲリラこそが大きな問題と認識されるようになっています。

  現在、共和党のマケイン議員とISISのトップといわれるバグダディの
  会議写真が出回り、真偽も含め問題になっています。

  中東の問題はいわゆるネオコンが民主主義をシリアに輸出しようとし、
  そこに軍産複合体が乗ってメチャクチャになった背景が
  あるとも考えられています。
 
  そこで、この混乱を抑えるために立ち上がったのが、ロシアのプーチンです。

  この数ヶ月、ケリー国務長官が何度もロシアとシリアに出向き、
  中東の混乱を収める策を講じてきました。

  そして、先月の国連総会でプーチンが「テロの一掃」を掲げ、
  シリアに空爆を行うことをついに明言しました。

  もし、オバマ大統領がこの案に本気で反対しているとしたら
  拒否権を発動できたはずですが、
  実際にはそのようなことはありませんでした。

  ここに暗黙の了解があることがわかります。

  その上、欧州諸国や中東の多くの国もロシアの空爆や進駐に
  賛同しているのも事実です。

  また、この中東へのロシア参入で慌てているのが、イスラエルです。

  軍産複合体と共にISISや反政府ゲリラを育て活用してきたイスラエルは、
  ロシアがこれらの「子飼い」を焼き払ってしまうと、
  シリアやイランとの緊張関係が高まります。

  そこで、イスラエルのネタニエフ大統領は急遽ロシアを訪れ、
  「ロシアが収める中東」について話し合いました。

  現在、中東はロシアなくして平和が訪れない状況になろうとしています。

  いま、世界が直面しているのは、テロとの戦いではなく、
  テロを影で支援している米国軍産複合体との戦いといえるのかもしれません。

  (アルフィックス日報)

イスラエル

 ●イスラエル

  「イスラエル」という国から何を連想されますでしょうか。
 
  ユダヤ人国家、聖地エルサレム、中東戦争、
  パレスチナ問題などが多いのではないかと思います。
 
  西暦135年に国土を失い世界中に離散、1948年のイスラエル建国によって
  ユダヤ人は1800年ぶりに国土を持ちました。
 
  しかし、今度はパレスチナ人が国を追われることになったため、
  パレスチナとの遺恨は深く、アラブ諸国とも宗教上の対立などから、
  日常的な緊張状態が続いております。
 
  今後も中東問題の主役になってきそうなイスラエルですが、
  実はイスラエルのハイテク産業が、
  世界一と評価されているのをご存知でしょうか。

  イスラエルは国土約2.2万平方キロ、四国とほぼ同じ面積で人口約700万人
  (四国は約400万人)と小さな国ですが、戦争を繰り返しながらも、
  IT産業や医薬品産業など様々な分野で産業を成長させています。
 
  特にハイテク産業は輸出の40%を占め、
  民間労働者の14%が従事する産業となっています。
 
  現在、インテルやマイクロソフト、グーグルなど
  世界的な企業の研究室や支社が置かれ、
  「中東のシリコンバレー」と呼ばれるほどになっています。
 
  また、ハイテク中心の米NASDAQ(米国株式店頭市場)
  上場企業数は米国を除くとイスラエルがトップ(2008年)となっています。

  イスラエルのハイテク産業が優秀な要因として、
  大学などの高等教育機関が充実しており、
  国民の教育レベルが高いことが挙げられます。
 
  また、アラブ諸国に囲まれ、緊張状態が続くイスラエルの国防費は
  国家予算の3割を占めています。
 
  18歳になると男性で3年、女性で2年の徴兵制度があるため、
  軍隊に所属します。
 
  イスラエルは人口が少ないので、軍事力は人的被害が少なくなるよう、
  ハイテク兵器に重きを置きます。
 
  この徴兵期間、軍隊で最新のハイテク機器を
  国民のほぼ全員が触れることになります。
 
  これもハイテク産業の優秀さを支える要因と言えるのではないでしょうか。

  1948年の建国から、イスラエルの歴史は戦いの歴史となっています。
 
  国土を失い流浪する悲惨さ、ユダヤ人というだけで
  迫害、差別された経験をしている民族ですから、
  生への執着が強くなるのは当たり前のことかもしれません。
 
  金融に強く、世界中にネットワークを持つユダヤ人、
  これにハイテク産業まで加わると、その影響力は益々強まります。
 
  世界的な景気後退期や恐慌後、そしてパワーバランスが崩れた時、
  そうした時に戦争は起こってきました。
 
  現在の世界の経済状況、中東のパワーバランス、
  イスラエルにまた戦いの歴史が刻まれることにならなければ良いのですが。
  (あるる)
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