●温かい文字

  皆様は普段、鉛筆を使われますか。
 
  仕事ではボールペンを使われている方が多数派だと思います。
 
  また、消しゴムを使いながらの下書きの際でも、
  鉛筆ではなくシャープペンシルを使う人が多く、
  鉛筆の売り上げは激減しています。
 
  日本鉛筆工業協会によると、
  1966年は年間13億本の鉛筆が売れていましたが、
  現在では3億本にも届いていません。
 
  ボールペンやシャープペンシルを使う人が増えたことも原因ですが、
  最も大きな原因は、パソコンの普及にあるそうです。
 
  パソコンでの作業が増えたことで、漢字を度忘れして書けない
  「ワープロ(パソコン)失語症候群」の人が増えており、
  パソコンの普及は鉛筆の売り上げを落とし、
  同時に日本人の日本語力も落としています。
 
  文字、日本語を正しく使うには、打つよりも書くことが必要です。

  「日本語を見やすく、分かりやすく、効率的に書くこと」を目指して、
  文部省は小学校1年生から中学校3年生までの義務教育では、
  鉛筆を使うように指導しています。
 
  シャープペンシルは芯が細くて折れやすいため、
  力の入れ具合が分からない小学生には、文字を書くことに慣れるために、
  一字一字をしっかりと書ける鉛筆が適しています。
 
  鉛筆には様々な種類がありますが、人気はアニメのキャラクター鉛筆です。
  しかし、昨年11月に三菱鉛筆より発売された、
  鉛筆本来の価値である“書きやすさ”に着目して作られた鉛筆が
  売れ行きを伸ばしています。

  それは、新一年生を購入対象に発売したナノダイヤ鉛筆です。
 
  この鉛筆、芯にナノサイズの工業用ダイヤモンドの微粒子を配合しており、
  通常の芯より固く、折れにくくなっています。
 
  鉛筆の芯は黒鉛と粘土で作られていますが、ナノダイヤを配合することで
  球体に近いナノダイヤがローラーの役割を果たします。
 
  芯の強度は落とすことなく、滑らかな書き心地となるため、
  筆圧の低い低学年の児童でも濃く、くっきりとした文字が書けるそうです。

  ナノダイヤ鉛筆は1ダース756円。
 
  普通の鉛筆よりも割高ですが、子供のうちに、
  楽しく正しくキレイに書く習慣をつけると、それは一生モノです。
 
  鉛筆で書いた手書きの文字は、印刷にはない温もりを感じさせてくれます。
 
  書く機会が減った現代だからこそ、手書きの大切さが改めて見直されます。
 
  (あるる)