●「OPECの減産と今後の影響」 ~①原油~
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  先月28日の臨時OPEC総会にて、「事実上の減産合意」が決定され、
  今までの軟調な動きから一転して強基調な値動きが続く原油価格.。

  OPECの減産と今後の影響を原油や為替、貴金属別に特集させて頂きます。

  第一回の本日は「原油」です。

  OPECの減産は、リーマンショックの影響で原油価格が
  高値147ドルから30ドル台へ急落した時以来、実に8年ぶりとなります。

  2014年頃より原油は供給過剰が続いており、
  現在でも日量約50万バレルの供給過剰です。

  これは原油価格が下落を始めた2014年11月のOPEC総会にて、
  市場の予測に反し、一部の産油国の反対を押し切って、
  OPECの盟主サウジが“生産調整役を放棄”、
  台頭するシェール産業との生産シェア争いを優先して
  「生産枠維持」を決めたためで、原油価格低迷の大きな要因となりました。

  結果として、コストが50~80ドルと言われる
  アメリカのシェール生産は減少しましたが、
  身を削った産油国の財政事情も悪化を辿りました。

  そして先月28日の臨時総会において、ついに「減産合意」を決定、
  次回11月総会にて加盟国別の減産割り当てが決められる予定です。

  原油の年間需要が毎年約1%増加している中、
  IEA(国際エネルギー機関)の予測では、
  現在の日量約50万バレルの供給過剰が均衡するのは
  2017年中旬の見通しですが、予定通りの減産が実行された場合、
  需給が均衡するのが、2016年末頃と約半年早まる見通しから、
  原油価格が上昇に転じています。

  10月10日には、ロシアのプーチン大統領が、
  「ロシアはこの協調行動に加わる用意があり、
  他の石油輸出国にも減産に加わることを求める」
  とコメントしています。

  OPECに加えて、非OPEC(ロシアなど)が“協調減産”で
  行動をともにしますと、原油価格は60ドルを超えて、
  生産調整役を放棄した2014年の70~80ドルに向けて
  価格が一段と上昇する可能性もあります。

  今後の産油国の動向から目が離せません。

  (アルフィックス日報)